
会議コンセプト
たゆたえども沈まず
-Fluctuat nec mergitur-
本会議のコンセプト「たゆたえども沈まず -Fluctuat nec mergitur-」とは、16世紀から存在するパリ市のモットーとして知られている言葉です。パリ市の紋章には、このラテン語とともに帆船が描かれています。そこには、「船にはどんなに強い風が吹いても、揺れるだけで沈みはしない」との意味が込められています。
さて、国際社会のこれまでの歩みを振り返ってみると、まさに「たゆたえども沈まず」との言葉がフィットするといえるでしょう。WW2、冷戦、そしてテロと地域紛争の時代を経て今日まで至っています。現在(本稿執筆時点)では、国連安保理常任理事国の一角を占めるロシアによるウクライナ侵略という逆風が国連、国際社会には吹き付けていますが、逆風は今に始まった話ではなく、これまでも吹き荒れていました。しかし、そうした中でも、「国連という船」は決して沈むことはなく、今日まで国連は相応の意味を持ち続けてきました。本会議にて取り扱うリビア情勢も、国連が沈むことなく、その期待に応え、航海を続けていけるのかどうか、という意味で試金石となる事案であったといえるでしょう。
では、「たゆたえども沈まず」について、模擬国連における意味合いを考えてみましょう。私は、模擬国連の最大の意義の一つは、複雑で、立体的な国際政治の側面を、身をもって体感できること、また、それをそこに集う多くの人々が共有しながら活動できることにあるのではないかと考えています。
史実での本会議は、リビア情勢という危機を目の前に、保護する責任概念に基づき、NATOを中心とする多国籍軍が、軍事行動を行うことでリビアの住民を救うべく行動した事例でした。安保理は、必ずしも設立当時に想定された形ではなかったにしても、期待に応えるための行動を起こしたのです。
皆様には、ここまで紹介してきた、国際社会におけるさまざまな困難や安保理への期待を噛み締めながら、リビア情勢という事態を目の前にして、安保理は、国際社会は何ができるのか?という問いに向き合いながら、会議に思いを巡らせて頂ければ幸いです。